京都御所南 Gallery ICHIHARU アートお喋り空間

教養は一流の人脈をつくる。京都のアーティストが超一流の人生から学んだ、実学の教養空間。

新しいジャンルに変わる前に、気をつけておきたいこと。

こんにちは。
毬紗です。


メールのお返事です。

「40代で、美大出身です。油絵で思うような表現ができません。日本画に変わろうと思いますが、これから画家として成功できるでしょうか」

絵画の世界に限っていえば、扱いの難しい画材のジャンルに変わって成功した人は、ほとんど見かけません。

成功している人たちは、それ以前の画材よりは、扱いやすいものに変わった人です。

扱いにくい画材を選ぶ場合、

「同じ技法を長年追求し、実績を蓄積した人が成功して行く」

という成功法則が、多くの人に当てはまると感じます。


日本画は、岩絵具の使い方だけでも、自在に扱えるまでには、ある程度の経験が必要です。

温度管理、膠の配合など、年数を重ねて分かってくるものもあります。

個人差もありますが、色鉛筆やアクリルなど、比較的容易に使える画材とは、習得できる年数が違うでしょう。


なぜ、日本画に変わりたいのでしょうか。

日本画に変わりたいという理由が、テーマであったり、マチエールであるのなら、素材や、画材の使い方次第で、油絵でも追求が可能なのではないでしょうか。

アートの場合は、仕事の優位性が、生まれ持った資質も大いに関係します。

色彩感覚、造形感覚など、遺伝的な影響があるとの研究も出ています。

自分に合った素材、画材を探す努力は必要ですが、それにかまけてしまい、いつまでもまとまった仕事ができない人もいますから、気をつけてくださいね。

「自分探し」の旅は、アートの場合、手を動かさないことには無意味になりがちです。


断捨離がブームになりましたね。

新しい自分探しのために、前の仕事を捨てて、アートの世界に新しい夢を託す素人さんが増えました。

その人たちを狙ったキラキラ・ハンドメイドビジネスも、流行しました。

新しい世界は、結局は前と同じ世界だと、幻滅した人も多くいました。

心理学者のなかでは、安易にものを捨てる傾向を助長するのは、自分のコアである、大事なストーリーまでも捨ててしまい、オリジナリティの獲得が浅くなるのではとの疑問を示している人もいます。

「これがダメなら、次はこれ」

苦難や理不尽に堪えることも、別の視点で見る努力をする経験も少なくなるので、人間に深みが出ないのです。


諦めが悪いことで成功した人たちが、アートの世界には多くいます。

淡々と、自分の信じたことを続けた人です。

あなたの信じているものは、なんでしょうか。

それは、油絵では、本当に表現できないものなのでしょうか。

どこにでも、理不尽があります。

どの世界にも裏表があります。

そんな中でも、20年以上油絵に向き合えたことは、安易に断捨離すべきではないと感じます。

あと少し、油絵の世界で踏ん張れば、届く場所があるかもしれませんね。

「あと少し、頑張ってみよう」

偉業を成し遂げた人たちも、毎日、そのような思いを積み重ねたのではないでしょうか。

その積み重ねが、多くの人に感動を与えるように思います。