京都御所南 Gallery ICHIHARU アートお喋り空間

教養は一流の人脈をつくる。京都のアーティストが超一流の人生から学んだ、実学の教養空間。

貴族が女性を選ぶときの基準/ドナルド・キーン『日本人の美意識』

こんにちは。
毬紗です。

ドナルド・キーン『日本人の美意識』を読んでいました。


源氏物語』の、それぞれの女性の重ねの色目や、香の合わせ方が気になる私は、西洋と日本の、男性の恋愛に関するこの文章に共感します。

まずは、西洋の殿方の場合です。

ヨーロッパの騎士は、兜の中に思う貴婦人の手袋を入れて出陣した。しかし、まずその手袋を調べて、果たしてそれが自分の美的基準に合っているかどうかを確かめて、そのお姫様のためなら生命を賭けてもよいという己の決心を確認する気持ちは、起こらなかったであろう。彼にはその手袋が、かつて姫の手をやさしく包んだということだけで、十分だったのだ。その材料、色、形、その他の、小うるさい吟味などしてはかえって姫を慕わしく思う彼の気持ちを削いだに違いない。
ドナルド・キーン著、金閣寿夫訳『日本人の美意識』中公文庫


映画でも、ジロジロと手袋を調べるシーンは、ありませんよね。

愛しい人からの手袋に、チュっと口づけする程度です。


一方で、東洋の殿方には、女性の持ち物にこだわりがあります。

それに反して十一世紀の日本の貴族は、自分が愛情を捧げる相手の女性の、美的趣味の高雅さに関しては、断乎として譲るところがなかった。女から受け取る恋文や恋の筆跡は、完璧でなければならず、あるいは女の着物の袖をちらっと見ただけで、彼女が色彩配色の感覚に少しでも欠けるところがあることが分かれば、もうそれだけで彼の恋情は、一度にさめてしまったかもしれない。

ドナルド・キーン著、金閣寿夫訳『日本人の美意識』中公文庫


厳しいですね。

彼女の小物が素敵でなければ、その女性への熱がさめてしまうのです。

字がきれいな女性がモテるのは、いまも変わりませんね。


美意識は、地域によっても変わります。

京都では、料理を守る器や、盛り付け方に、京都独自の美意識が反映されています。

風土、習慣、人の気質などにより、それぞれの地域に、それぞれの美意識が育っていきます。


若い頃から読んでいた本ですが、いま読むと、新しい発見があります。

この年齢特有の美意識が、育っているからでしょうか。