京都御所南 Gallery ICHIHARU アートお喋り空間

教養は一流の人脈をつくる。京都のアーティストが超一流の人生から学んだ、実学の教養空間。

真の国際エリート教育とは/アイヒマン裁判の真実

こんにちは。
毬紗です。


立山良司編著『イスラエルを知るための62章』を読んでいました。


国際エリートになると、本人だけではなく、その家族も、さまざまな国の人との付き合いが増えます。

オーストラリアで大学教授をしていた叔父の友達には、アジア、中東、ヨーロッパ、欧米、南米と、あらゆる国の人がいました。


アイビーリーグ生の娘の友達の話を聞くときに、

「その子、どこの出身?」

と聞くクセができました。

差別的な意味ではなく、ナショナリティを尊重するために。

夏休みの旅行では、ホテルに泊まるよりも、現地の友達の家に泊まることも多いのです。

親和的な交流ができるよう、国際情勢に敏感でいたいと願っています。


イスラエルユダヤについて、知らないことが多くあります。

勉強不足からだけではなく、歴史の研究が進むにつれて、迷信的な思い込みから解放されることも。


アドルフ・アイヒマン(1906 - 1962 )についての、ドイツ出身のユダヤ人の哲学者・アンナ・ハーレントの前提が、新しい研究によって覆されていました。

アイヒマンは、第二次世界大戦(1938 - 1945)中に、ユダヤ人の大量虐殺に関わったドイツ人です。

ユダヤ絶滅収容所への輸送を指揮していました。


戦後、エルサレムでの裁判によって、アイヒマンは罪を裁かれます。

イスラエルの首都であり、ユダヤ人にとって象徴的な場所「エルサレム」の地で、裁判が行われたことに、当時のイスラエル首相ベン・グリオンの意図が見え隠れしていることは、本書のコラムにおいて武井彩佳氏も言及しています。

どの場所で、裁判が行われるのか。

誰に有利な土地で、罪を裁くのか。

「空気」が与える影響力は大きいですね。


アイヒマン裁判といえば、ドイツ出身のユダヤ人、哲学者アンナハーレント「陳腐な悪」です。

裁判を傍聴していたアンナ・ハーレントが、アイヒマンを、『イエルサレムアイヒマン 悪の陳腐さについての報告』(原題:Eichmann in Jerusalem: A Report on the Banality of Evil)で、

「命令に従うだけの、凡庸な一官僚が『陳腐な悪』を行なった」

と批評しました。


これについては、発表当初から「ユダヤ人嫌いのアイヒマン擁護」との猛反発はありましたが、武井氏は、

しかし、悪は本当に陳腐であったのか。近年の研究では、アイヒマンは非常に確信的なナチであり、実際には単に「命令に従う」どころか、ユダヤ人殺害に自らイニシアチブを発揮していたことが明らかになっている。

武井彩佳「アイヒマン裁判」 立山良司編著『イスラエルを知るための62章』明石書店より

と現在の研究の成果をもとに、アンナ・ハーレントの事実の誤読を指摘しています。

アイヒマンは、自らの信念によって、確信的に、ユダヤ人を殺害していたと。


コラムの中に、ハッとする一行が。

まず、誰が殺されたユダヤ人の代弁をするのか。

誰が、誰を代弁するのか。

代弁者の立場によっては、民族の歴史は迷信的になり、特有の物語を形成していきます。


歴史を学ぶと、トランプ政権の方針も、なにを意図しているのかが見えてきます。

迷信的な物語で思考停止するのではなく、

「それでも私には、知らないことがある」

と、未知のものに謙虚になる精神こそ、国際エリートが育てるべきものだと感じています。



エリア・スタディーズのシリーズ、お勧めです。私もこれから、全シリーズを読破予定。